山にあきたから海へ？ そんな単純ではないけれど、 ロマンチックなセカンドライフに満足
海岸を見渡せる高台に、土地の傾斜を利用して建てられている鈴木さんのお宅を拝見。２階建てで見晴らしはとても良さそうです。キッチンからも海が見渡せて、遠くに停泊している貨物船なんかもぼんやりと視野に入ってきます。
サーファーには穴場という目の前の海岸線はとても美しく、この日はおだやかな波音がとても心地よく、耳を擽るようです。
そもそもは山の仕事をやってきたという鈴木さん。山小屋の管理人やスキーロッジの支配人、森林の伐採等を仕事としていた為、半生のほとんどは山の中での暮らしでした。山小屋で知り合って結婚したという奥様と一緒に、山形県蔵王のライザスキー場の辺りで長年ペンションを経営されていたそうです。
ペンション経営も30年以上が過ぎる頃になると、山の暮らしにどっぷりと浸かっていたのですが、やはり山道や雪の中での生活が辛いと感じるようになってきたのです。体力的に限界を感じたころ、移住を考え始めたそうです。
2010年にここに移住されて、東日本大震災もここで経験されました。その時はさすがにびっくりして、家を跳び出したら猫も一緒にとび出してきて大騒ぎしたそうです。基礎のコンクリートにヒビが入ったりしましたが、大きな被害はなかったようです。津波も来ましたが2mぐらいの高さだったので、ここは心配ありませんでした。
「こちらを買う時も一応は津波の事を考えて、少し高台(標高は約25ｍ)にあるこの場所であれば安全だろうということでここに決めました。実際にあの地震を体験しましたが、大した被害も無く大丈夫、安全性が確認できた地震でもありました。」と話されていました。
もともと山の中で暮らしていましたから、田舎暮らしというより、海の見える所に住みたかった、というのがここに決めた理由だそうです。
山の中での暮らしが長かったので、あまり人混みの多い場所は好まないので、人の密集していない、海の見える所が移住の条件でした。そして、あたたくて雪の無い場所が希望だったので、ここは最適な場所だったのです。
朝の海に漁船や貨物船が浮かんでいる様子はとてもきれいです。食事をしながら、お茶しながら海を眺めるのもオツなものですよね。
二階は専ら奥様のアトリエとなっていて絵を描いておられるそうです。奥様は月に１回は高速バスに乗って東京に絵の勉強に行かれているのだそうで、水郷潮来まで車で送りに行くのがご主人のお役目となっています。
毎日、何をするのもご夫婦ご一緒の事が多いのですが、奥様が絵を描いていらっしゃる時だけは別々のようですね。
また、年末年始には息子さん達が来られて一緒に過ごされるそうです。山の暮らしは生活の為ということもあったので、仕事をするのが当たり前という意識だったけれど、ここでは年金暮らしでのんびりというのが実感かもしれません。
しかし、個人経営の中で掛けてきた年金だけでは正直生活は難しいという事でした。鈴木さんは賃貸できる住宅をお持ちで、家賃収入があるのである程度余裕を持ったセカンドライフが実践できているのでは、と仰っていました。
確かに年金の支給額によっては、セカンドライフの選択肢が狭まってしまうこともあり得ますよね。
のんびりと海を見ながら毎日を過ごしているという鈴木さんですが、実はとてもアクティブに活動されています。若い頃は山登りが好きで沢山の山を制覇してきたこともあり、今日はハイキングのサークルに参加し、15kmほどの距離を4時間かけて歩いてきたということです。次回のイベントはバーベキュー大会。これも楽しみにしているご様子です。
その地区は海が近いこともあって、魚が豊富なのだそうです。大和会の中では、海の見える鉾田地区担当のリーダーの役割も担っていただいています。
「この地区の7,8世帯の皆さんを誘って大和カフェでお茶会もやってみたいね。」と、
この地区の方々とのコミュニケーションの場をもっと増やしていきたいと意気込みを話してくださいました。
ペンション経営の時代からずっと一緒に歩んでこられた奥様との、「なにをするのも一緒にやりながら過ごしている生活。買い物も一緒、病院に行くのも一緒。」という言葉がとても印象的でした。目が弱くなってきた奥様を気遣っての言葉一つ一つにも深い思いやりと愛情が感じとれて、とてもやさしい気持ちになってお話しをお聞きしました。
おだやかなセカンドライフを過ごすには、価値観を同じくするパートナーとの出会いが重要なのかもしれません。そして、いつまでも新鮮な気持ちでお互いを認め合えること、尊重し合えること、支え合えることこそが、セカンドライフを有意義に過ごすための大きな要素であると感じられる訪問でした。
