8年前に移住されたという山岸さんは津賀エリアにお住まいで、趣味はガーデニングと明るく楽しそうにお話しを始められました。なるほどお庭も多くの草木で埋め尽くされていますが、家の中に隣接するサンルームには手入れの為の道具や、次に植える準備の為と思われる草木などが所狭しと置いてあります。そして窓の向こうに見えているのが葡萄の木のようです。
そういえば、以前に石丸さん・佐藤さん・沼田さんにお話しを伺った時 に、熱心に草木を育てている方がおられ、その方に庭の苗木をもらい、育て方も教えてもらうというお話しをお聞きしました。〝ははぁ~、こちらのお宅がそうなんだな〟と、妙に納得しながら心の中で相槌を打っていました。
というのも、山岸さんのお話しの中での前述のお三方の事が、あまりにも楽しそうなお話しばかりで、とても良いご近所づきあいをされているご様子がありありと伝わってきたからです。
山岸さんのお宅には何かとご近所の方々が集まり、飲み会やお誕生日会を行っているらしく、皆さんが用事で集まる時など、2次会は佐藤さんのお宅でというパターンもたびたびあるのだそうです。
もちろん皆さん鹿嶋に移住されてからお知り合いになられたのですが、このご関係には〝持ちつ持たれつ〟という暖かい心の通い合いがありそうです。
当然ながら、ご主人と一緒に移住されてきた山岸さんでしたが、数年が経った頃にご主人に認知症が発症し、それはとてもつらい日々が続いていたのだそうです。ようやく1年8ヵ月前に〝くぬぎの森(介護支援事業所)〟に入所することができ、大変だったご主人の介護から解放されることになりましたが、やはり落ち込む事もしばしば・・。
そんな折、ご近所に移住されてきた方々(もちろん石丸さんや佐藤さんや沼田さんご夫婦らの皆様)とお知り合いになり、サークルや大和会の他、ガーデニングの手ほどきなどをしている内に序々に気持ちが軽くなってきたのだそうです。そして、男手のいる仕事を助けていただいたりして、葡萄造りはみんなで行っているとの事です。
たとえば車での移動やなんかも気軽に引き受けて下さるそうで、そんな人間関係を築けたことが一番うれしいと笑顔でお話しして下さいました。
そんな山岸さんが、ここに移住を決めた理由は、「歩いていける範囲に必要な全ての施設があったから」というものです。車も自転車も乗らないという山岸さんは、最初は買い物なんかにも不便さを感じてはいましたが、最近では生協が充実しているので、何も問題無しと仰います。
ゴミステーションも最初は市の指定場所に捨てに行っていたのですが、現在は大和ハウジング専用のゴミステーションが設けられており、こちらも問題解決!
そして、便利屋さんでとても良い方がいて何でもやってくれるので助かっているのだそうです。ふれあいセンターも充実していて、「良い出会いがあったからこそ、鬱にならずに過ごすことができています。一人ではとても生きていけそうもないですからね・・」と。
そして「今、ようやく自分らしい生活が送れているように思うんです」と、とても朗らかにお話しして下さいました。
ボーリングサークルに入っているのですが、月に2回ぐらいは練習に行こうという〝女子会〟の仲間の皆様とは、練習よりほとんどがランチ優先。どこでランチを食べるかが主になってしまっているのだとか・・。「鹿嶋も捨てたもんじゃありませんよ。フレンチだってあるんだから! でも、もっと近所に良いレストランがあるといいね!」ちょっぴり本音も出たりして・・。
冬は底冷えがして思っていたより寒いのだそうです。「寒い冬に最初に咲く花が水仙。そして梅が咲き、桜が咲き始めるととてもうれしくなります。北浦の夕陽も美しいですよ!」 山岸さんは鹿嶋に来てほんとの自分の充実した生活を見つけたようです。
とかく高齢になってからの移住には、やはり病気や介護という重い課題を避けては通れません。
山岸さんのお話しは、そんな不安や悩みに対してどう折り合いをつけるべきか、という回答を明確にしてくれたような気がします。それは〝良い人間関係を築けるか?〟にあるように思います。