プール付きの邸宅を選択した鍵内さん
林の道を少し走れば、なんとプール付きの邸宅出現! 土地の広さは330坪、そこには若い頃夢見たあこがれのアメ車と大きなガレージ。なんだか1960年代を思い起こさせるその佇まいに、圧倒され、感嘆し、思わず住んでみたいと頷く自分がいた・・。
中古で購入したというその家は、きっと外国の方が建てられたに違いない・・。そう思わずにはいられないほど豪奢な造りです。ここを購入された方ってどんな方なんだろうかと、門の手前辺りから興味深々でした。
そしておもむろにトレトレ姿で現れたその方は、鍵内さん67才、京都の舞鶴のご出身で、お仕事は船舶輸送関係で東京を拠点として働いておられたのだそうです。
それにしてもこの広いお家に一人住まい。奥様は田舎暮らしに反対で、めったに来られないそうです。
居住エリアは1フロアが約100㎡あり、3フロアの5LDK、2つのロフト付きです。
まずはここを選んだ理由からお聞きしました。とても豪快な返答が返ってきました。 「田舎で暮らすんだから広い家でないと意味がないし、とにかく引退するなら広い家がほしい」と思い立ち、新聞広告を見て興味を持ったのだそうです。
そして、鹿嶋の町を見たくて来てはみたものの、案内されたこの広い大きな物件が印象に残り、気に入って購入を決めたとの事です。
プールを見た時には、「子供達にプールを解放し、泳いでいる様子を眺めたかった」のだそうですが、実際にはプールは稼働出来ませんでした。ポンプが故障していて水が入れられないのです。
ご本人は「大和ハウジングの社長に騙された」と苦笑いですが、大和ハウジング側では社長が「はじめからプールは飾りですから・・」と言ったのだとか、あるいは「中古物件ですから設備は現状渡しですから・・」なんて言葉が飛び交っています。
それにしてもこのプールに水をいっぱいにすると水道代が半端じゃないでしょうに、と思っていると、なんと水は井戸水なのでタダ。
地下水を汲み上げるのにポンプの電気代と修繕費は必要ですが・・。来年の夏に水が入ったら泳ぎに来てもいいですかぁ~?
もう一つ、ここを選んだ愉快な理由を聞かせていただきました。ここに柿の木を植えて、柿の実を取りに来た近所のガキどもに「こらっ!」と怒鳴ってみたかった、のだそうです。
そんなオヤジ、いましたよね。いかにも団塊の世代っぽい言い回しに、ちょい悪オヤジを感じませんか?
それはともあれ、この鹿嶋を選択した理由は、やはり東京に近いロケーションとバスの便が良いこと
10分に1本の割合で走っている高速バスは、「東京で飲んでも1時間ほどで帰れるからね」とお話ししていましたが、実はお酒は嗜(たしな)まれないのだとか。専らコーヒーとタバコを愛飲されているのだそうです。
敷地の奥には大きなガレージがあり、愛車(ムスタング)が収納されています。普段はワーゲンにお乗りなのですが、このムスタングはなんと言ってもどうしても手に入れたかった車で、アメリカでの放浪時代にあこがれた車なのだそうです。
「引退した時には必ず所有する」と、その頃から決めていたというから驚きです。夢の実現は思い続けることかもしれませんね。
移住から約1年経ったそうで、その住み心地などをお聞きしたところ、「花の咲く春の時期が一番いいですよ」と、次々と咲く花達が美しいと話して下さいました。
ただ夜は真っ暗だし、なんとなく不便さは感じるものの、月の明かりがこんなに明るいものだということに気付いたのも事実で、その月夜の美しさも不気味さも味わえる事が新しい発見でもあったようです。
ここは土地が広いうえに両端は畑と田んぼ、奥には大きな森という立地です。あたりには何も建造物は見えません。夜は寂しいのではと問いかけたところ、「どちらかというと一人でいることが好きだし、たまには息子も泊にくるし、友人達も遊びに来てくれるから問題ない」そうです。
素振り(ゴルフ)の出来る1階フロアにはジムの器具が揃えられており、体力や健康造りにも熱心なご様子です。
そして2階の1室にはぎっしりと書籍が並べられています。歴史小説がお好きなんだそうで、この部屋は図書室兼書斎とでもいえそうです。
山登りが好きだという鍵内さんは、山登りの仲間が遊びに来て泊っていけるように、最初に揃えたのが布団なのだそうです。
「家具はリビング用の大きなテーブルだけ買ったけれど、布団はいっぱいあるからね。いつでも友達が泊まっていけるようにね。」と、やはり団塊の世代の友達付き合いの情景を思い起こさせるのでした。
それにしても、ある意味、夢を叶えた団塊世代。きっと「俺の理想の引退生活じゃないか」と思われる御仁も多いのではないでしょうか?