作り手の愛情のかけ方次第で豊作になったり、ダメになったり、野菜は正直そのもの。
大和ハウジングからお家をご購入された方々の憩いの場所、なごみ館の一角には野菜作りを始める方への貸し農園があります。
ここで畑の手入れをする塩見さんにお会いすることができました。船橋にお住まいの頃から野菜作りをするのが夢で、ここに来て夢を実現させたお一人です。
〝田舎で野菜作り〟というセリフはよく耳にするけれど、実際はどうなのよ、と言わんばかりに質問をしてみたところ、塩見さんの野菜作りは、そのおおらかな優しさ溢れんばかりの愛情を注ぐがごとく、〝育てる〟という行為そのものでした。
これはインゲン、そちらはトマト、その横はトウモロコシ、ピーマン、カボチャ、そしてこのかわいいのがスイカの子供達・・。と、まるで苗をいたわるように、植わっている野菜達の説明をしてくれました。スイカの子供達はまだ8cmぐらいの直径で、ざぶとんを敷いています。畑の回りには鳥よけの網が張り巡らされており、この網もご自分で作られたのだとか。
畑を耕すということは、種を撒いて水をやり、肥料をやり、雑草を取り除いただけでできるものではなさそうです。
鳥よけ、虫よけ、菌よけ、ハクビシンよけと手入れだけでは済まない様子。大変そうですが、それぞれに大きな意味もあり、手入れがうまくいって収穫できた時の喜びこそが、〝やりがい〟であり〝達成感〟が味わえる、田舎暮らしの醍醐味だと語ってくれました。
塩見さんもその内の一人で、最初はこの勉強会で一から教えていただいたのだそうです。
この貸し農園は人気があり、2年間という限定ですが、なかなか空きも出なくて、昨年の8月にようやく畑を借りることが出来ました。
最初は秋に収穫のできるダイコンから始め、次に冬を越せる野菜などと順番に作付けしていきましたが、じゃがいもなんかは、以前に船橋の家庭菜園で作っていた時の3倍の収穫があったとか。全て、野菜作りの先生からのアドバイス通りに行った成果だと目を細めて満足そうです。
トウモロコシの実がついているかどうかなんかは、葉っぱをむしって中を見てはダメ。中がむき出しになっているとハクビシンが来て全部食べられてしまうのだとか。そのようなことも先生から教えられながら、育っていくのを楽しんでいるのだそうです。
たとえば肥料を撒くタイミングと種類は、目的によって異なりますし、1回や2回じゃダメ。消毒液も虫よけと菌よけでは種類を変えなければなりません。
また、苗や種はホームセンターなどで仕入れています。大きく、おいしく育った野菜は、全て手入れのタイミングや肥料の種類が合っていたからで、その育ち方は正直に結果として現れます。めんどうくさがりやの人には向かないかもしれませんね。でも自分で汗をかいて作った野菜は甘みがあり、格別のおいしさです。
なんと言っても丹精込めて作った野菜をつまみに飲むお酒がうまい、と笑ってくれました。
そして、塩見さんは人生に3つのステージを想定していたのだそうで、第1ステージは結婚と子育て。第2ステージは企業戦士として働き、社会に貢献すること。
第3ステージは自分の時間を自由に使って過ごす事。第2ステージまでは年齢と共に経過してしまったけれど、第3ステージに達する前に、少し回り道もしてみました。会社を定年退職してからの10年間は、ボランティアとして介護施設で活動したり、ヘルパーの2級を取得して介護相談員としての活躍も行いました。
そうして、ようやく自らが第3ステージに入ることを認め、今の生活を送ることにしたとの事です。年金だけで生活できればいいから、自由に、したい事をして過ごす生活。好きな野菜作りを楽しみながら出来る生活。そして選んだこの鹿島は、「ご近所の方々皆さん良い方ばかりで、楽しく和気あいあいと暮らしてします。」と、現在の生活が楽しくてたまらないというご様子です。
そういえば、スイカは大豊作になりそうで20個は採れる見込みだと仰って、まだ小さいひ孫に送ってあげようと思う、と笑顔を絶やさずにお話しをしてくださいましたね。
穏やかな人生の過ごし方、それは過去をどのように生きてきたのか、納得した生活が送れていたのか、に左右されるのかもしれません・・。