海の見える丘の井原さん
季節の変わり目の〝海・波〟の景色は毎日違うんですよ。ここには海があり緑の森があり、タヌキやウサギ、キツネ・小鳥・マムシまでもいて自然の中で癒しの力がいっぱい。
大病をしたので自分の力で体力回復をさせたかったんです。
移住から10年目を迎える井原さんご夫婦、東京は神田佐久間町、都心のど真ん中で会社を経営されていました。
会社は順調に大きくなり今では息子さんが継承されていますが、実は心臓の手術を2回も受けておられ、お医者様には〝後5年の命〟とも宣告されたのだそうです。そんな訳で療養を目的でここ鹿嶋の土地に来られたのです。
海の見える丘の上に建つお家を選らばれたのには理由(わけ)があります。
海岸までの坂道は心臓病を患った井原さんにとっては少しきつい目なのですが、この散歩(浜まで約5分)がちょうどよいリハビリとなり、海風が薬になってくれるのだそうです。
そうして、「お医者様からは余命5年といわれた命がもうここに来て10年が経ったんですよ。」と満面の笑みでお話しして下さいました。
移住歴10年ともなればリタイア生活もベテランです。これから移住される方への参考にと思い、生活面での満足・不満足な点について訊ねてみますと、「この生活にとても満足しています。何も困ったことが無いと思える事がすばらしい。」と軽快な言葉が返ってきました。
長野県のご出身なので引退後は海の方と決めていたのだそうですが、ここにはあらゆる趣味を活かす場所が豊富で、ストレスを一切感じたことがないとの事。つりに行けば小さくても1kgほどの大きさの魚が釣れ、時には4kgの魚も釣り上げた事もあるとか。
「砂浜ではハマグリが打ち上げられ、岩場には岩ガキが採れ、食文化には困りませんでしたね。しいて不満な点を言えば、ネオンが無いのとオネェチャンがいない事かな?」と冗談めかして仰っていましたが、横の奥様のお顔をチラリと見たのがとてもおちゃめです。
ゴルフ場も多く、つりは毎日行ってもあきません。そして、なによりお酒がうまい。
家のロケーションについてはこんなアドバイスもありました。
「畑の中の家は、風が強い日には土埃が入ってきたりするので、できれば防風林がある所をお勧めしますね。我が家は4面道路で駐車しやすかった事も決め手でしたね。」さすがにお車関係のお仕事をされていただけあって、駐車場と道路は重要な観点ですね。
移住という立場からはご近所づきあいの大切さもお話ししてくださいました。
地元の人は、どうしても移住者を〝よそ者〟的にみる傾向があるので、これは鹿嶋に限ったことではないと思うけれど「自分から溶け込んでいく」という気持ちをもった方が良いと思う。幸い、大和ハウジングには「大和会」という移住者のコミュニティがあってね、会員はそもそもが皆、移住者だから、新顔でもすぐ仲間として扱ってくれる。大和会の仲間を通じて、地元のかたとも知己を得ていくというのが一番楽な方法かな。
幸いにも奥様がとても社交的で、どなたとでもすぐに仲良くなれる性格なので、ご近所の農家の方々ともすぐに馴染めたようです。
結婚して48年になるという井原さんご夫婦ですが、ご主人は78才、奥様は65才。奥様は若い頃に小料理屋をされており、ご主人曰く、「料理が上手いし、その味に惚れて毎日通い、プロポーズした」のだそうですが、一目惚れしたのはお料理だけではなかったはず。
だってそばに寄り添っての甘い雰囲気は、まるで新婚さんのように初々しく感じられるんですもの。今度はこんなに仲の良いご夫婦を続けられる秘訣をお聞きしてみようかしら・・。
そして、やはり人生の大半を過ごされた先輩の言葉は、経験値が的確で深いと感じました。「金があっても健康でなければ価値はない」「女房と植木は自分好みに作れ」。
最後に「今が一番幸せ。その日その日が順調であればそれだけで良い」と、ご主人の言葉はなんとも印象に残る言葉だったのです。